060219



体は眠いのに、頭がギンギンに冴えていて、なんとも気分が悪い。


寝たのは午前4時半くらいだった。



9時に一度目が覚めたが、そのまま布団でゴロゴロ。


とりあえず、もう少し寝ようと試みるが、


聴覚だけが以上に発達しているみたいに、


窓の外から聞こえる車の音や、


右翼の街宣車のけたたましい音や、


日曜にもかかわらず、表の道路で繰り広げられる工事の音。


6階に住む大家のかすかな生活音が僕の脳みそを低周波で刺激してくる。



何も考えたくない。


とりあえず、現実と離れて、ただ眠りたかった。



10時過ぎにようやく脳みその回転もローギアに落ちて、


意識がぼやけてくる心地よさを受け入れようとした瞬間、



部屋のチャイムが鳴った。



チャイムの主は火災警報装置の点検員。


そういえば、今日の午前中から点検が入るとかいう案内のチラシを、

1週間くらい前に確認したことをおぼろげに思い出した。


正直、勘弁してくれよ、と思いながらも、


ドアを開けて点検員を迎え入れた。



眠そうな僕に恐縮しながらも、


彼は、玄関のドアを開けっ放しにして進入してきた。



程よく暖められた部屋は文字通り一瞬にして冷え込んだ。



彼は2メートル弱の木の棒の先にカップが付いた点検装置で


合計三箇所の警報装置を点検した後、


追い討ちをかけるように、



「この部屋のベランダには避難用のはしごが設置されていますので、


 後でその点検のためにもう一度伺いますね」



と笑顔で僕に言う。



せっかく脳みそに降りてきた睡魔を逃がさないようにして、


ソファーに無言で寄りかかっていた僕はそこで初めてまともに口をあけた。



「後っていつですか?」



彼も仕事だということは頭では理解していたが、


僕の心に土足で進入してくる彼の態度に、いらいらしながら、彼に尋ねた。



「後でってどれくらいですか?」



これ以上、自分の時間を乱されるのに耐え切れずにそう尋ねると、



「じゃあ、今点検しちゃっていいですか?」



と彼は尋ねた。



「お願いします」



と力なく応えると、


彼はそのための点検装置を取りに行ったのか、玄関に向かった。



5分くらい、玄関の外で、他の点検員となにやら打ち合わせしている。


その間、玄関のドアは全開のままだ。



冷たい空気が、廊下を通じて僕の部屋まで流れてくる。


ドアを閉めようと玄関に向かおうかとも思ったが、動けない。



寒さに耐えるのと、ドアを閉めに行く行為を天秤にかけたら、


寒さに耐える方が幾分か楽そうな気がしたからだ。



ようやく彼が戻ってきて、


今度はベランダのドアを全開にした。



玄関とベランダのドアを開けてたことによって、


僕の部屋に2月の空気の通り道が確保された。



寒い。当たり前だ。



点検作業は避難はしごが正常に稼動するかを確認するもので、


はしごの伸縮にあわせて、予想に反して、大音量の騒音が鳴り響いた。



すでに、僕の脳みそは完全に覚醒していた。


数分後、点検作業が完了し、



「お休みのところ、失礼しました」



といって彼は部屋を後にしていった。



頭がガンガンした。


体はクタクタだった。



救いを求めるようにして布団にもぐりこんだが、


覚醒してしまった脳みそは、なかなか言うことを聞いてくれない。



頭の悪い犬みたいに、お手!も、伏せ!も通用しない。


ただ口から舌を出してハァハァ息遣いを荒くしている。



腐った脳みそだ。



耐え切れずに、重い体を持ち上げて、


たまった洗濯物を洗濯機に投げ込んでスイッチを押した。



食欲は?と自分に問いかけるが、


胃袋が切り取られたみたいに、何も食べる気がしない。



もう一度布団にもぐりこんでみる。


昨日借りたDVDをプレーヤーに入れてまわしてみる。



すべての行為が無意味に感じられて、


とうとう、あきらめて、外に出ることにした。



まずは、前に買ったスーツのパンツの丈の直しをお願いした洋服店に足を運ぶ。


買ったスーツのパンツの丈が、5センチ近く短かったのだ。



スーツのパンツの丈が短いことほど、惨めなことはない。


仕上がりを確認してお店を後にし、


次に書店に向かった。



お目当ての本(4冊)のうち、3冊は簡単に見つかった。


もう1冊は取り寄せの必要があるといわれたが、


あきらめて、3冊を購入(約5千円)。



他の書店に行こうかとも考えたが、急ぐ必要はない。




書店を出て空を見上げると、空が真っ白だった。


曇り空なのに、グレーではなく、ホワイト。



なんとなく、携帯でパチリ撮影。


すれ違ったオヤジが怪訝そうな目で僕を睨んだ。



帰りに食事を調達、


クリーニングをピックアップして、自分の部屋に帰ってきた。



さっそく、


購入した本をパラパラめくってみるが、


良い意味で、予想に反して夢中になる。


著者のことは以前から知っていたが、昨夜のETVの影響で、


読んでみようと思った本だ。



誇張も、ドラマもない、淡々と語られる内容が直球で入ってくる。





で、今。


ブログを更新。




頭がガンガンする。


とりあえず、来週に期待しよう。